高齢者の複数の疾患
高齢者は、糖尿病や高血圧、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)、心疾患(心筋梗塞、狭心症)、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)など、多くの疾患を同時に罹患していることが多く、また、認知症、骨折、等が加わると、床に就くことも多くなります。2019年、東京都健康長寿センターは131万人の調査から、このような疾病3疾患以上の慢性疾患を併発している高齢者は約6割と報告しています。多病を抱えやすい高齢者の特徴は、男性、85-89歳、医療費1割負担で在宅医療を受けている、外来受診施設数が多く入院回数が多い人々と指摘しています。また、男性では高血圧・潰瘍性疾患・虚血性心疾患の複合疾患が多く(12.4%)、女性では高血圧症・脂質異常症・潰瘍性疾患(12.8%)となっていました。
一般的に、高齢者の特徴は、筋肉量が加齢とともに低下し、歩行等の運動習慣が減り、下腿の筋肉量が低下し、血液循環も停滞しがちになります。脳にも十分に血液がいかなくなると、失神を起こしてしまいます。ふと記憶が落ちて、気が付くと倒れていたという人がいます。どのくらいの時間かわからないというのも不安ですね。3疾患以上の多病の方々には、血液検査から、色々な異常値が想像されますが、外来受診施設が多いという結果から、診療内容や処方内容は施設を超えて共有できるシステムの構築が必要と示唆されています。しかし、こんな状況でも毎日食べなくてはいけません。どんな病気があっても、365日口に入れないと、体の維持ができません。食形態が常食、軟菜食、刻み食、流動食、嚥下食等の食形態が決まり、完全喫食ができれば体の維持ができてきます。栄養状態は福祉施設では個人のアルブミン値を観察しています。正常値が3.7~5.5g/dlで、高齢者では3.5g/dl未満を低栄養状態としています。血液に含まれるたんぱく質の一種で、食べ物由来のたんぱく質量が反映されます。たんぱく質不足は上記の色々な疾患を生み出しますので、たんぱく質不足の状態が出現し、完全喫食ができなければ、栄養補助食品の検討も促されます。
Comments