血圧への不安
最近、高齢者の血圧不安の相談が多いです。血圧は、遺伝性の本態性高血圧以外、年を重ねるごとに高くなってきますね。最近の気温差の拡大により、不安定が出てきます。しかし、高血圧の状況は体内にナトリウム(以下Na)が多くなるからで、Naを体内から排出することが必要で、その働きを持つカリウム(以下K)を多く摂取する事です。高血圧予防には一日のK摂取量を3500mgとしていますが、どのくらいかわかりませんね。野菜を一日350g摂取することがまずは第一関門です。野菜や果物に含まれるKは、茹でたり、水晒したりすると、約1/3量が水に溶出します。煮物だと、煮汁は食べないので、生野菜サラダが良いのですが、いつもそうとはいきません。相撲取りが毎日食べるちゃんこ鍋のような、鍋物は最後の汁にご飯を入れて雑炊にして食べると、Kは全て摂取できます。しかし、毎日、鍋とはいきませんから、色々な調理法を工夫しましょう。蒸し野菜の温野菜などはとても良いですね。
定期検診で、KやNaの血液検査もありますので、注意して、正常値がどうか見てください。しかし、血液検査もそう簡単にはできません。食事調査をして、食事中からNaやKがどのくらい摂取されるかわかりますが、この計算は大変で、実際に体内に摂取している量は、尿で解ります。一定尿約10mlを採尿すればよく、尿のNa/K比で実際のNaとKの摂取量が判明します。Na/Kが4以下であると良いと言われています。この数字は、高血圧と正の相関関係があると言われ、低い人ほど、高血圧ではないということになります。即ちKを多く摂取していることになります。これを測定している自治体があり、行政的にこの判定を推進しています。行政が動かなければ、住民運動になりません。我々の間には、「あそこで、骨密度検査をしているよとか、認知症検査をしているよ」という噂が広がっていますが、具体性がなく、住民運動にまで広がってはいません。日本人のコホート研究の広がりを見せるためには、自治体が主導になって、住民の健康への道しるべを果たして欲しいです。その一つがこのNa/K比だと思います。血液検査より簡便で、いつでも測定できますから、大いに実施して欲しいと思います。

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