糖尿病には低エネルギー?それとも低糖質?
糖尿病の治療にはご存知のように、「低エネルギー食、減塩、ビタミンは不足しないように」が基本で、1日1200kcalを下限にして、1400、1600kcal程度の食事が提供されています。3大栄養素の割合は、健常者の炭水化物50-65%、脂質20%-30%、たんぱく質13-20%(65歳以上15-20%)より若干低い、炭水化物50-60%、たんぱく質20%エネルギー以下、脂質20-30%を目安(糖尿病診療ガイドライン2016)となっています。糖尿病食は健康食の基本で、継続した食事をしていると、太った人も痩せることができます。しかし、この食事以上に効果があると、このエネルギー産生栄養バランス(%エネルギー)の考えではなく、低糖質(Low carbohydrates-ロカボ)に視点を置いた糖尿病治療食が効果をあげると言われ、ロカボ食を実施している病院も増えています。しかし、当初、低糖質が極端すぎて、炭水化物が少なくなり、たんぱく質や脂質が多くなり、逆に脂質異常症の疾病も増加したりして、2013年に日本糖尿病学会では「炭水化物のみを制限する糖質制限食は勧められない」という声明を出して以降、エビデンス不足をあげています。
しかし、2008年から2020年まで糖質制限食の臨床研究を続けている灰本クリニックのホームページによれば、糖質を制限すると①血糖値やHbA1cが下がり②体重や内臓脂肪が減り、③善玉コレステロールが上がり、中性脂肪が下がる④糖尿病薬が劇的に減るなどの効果をあげています。しかし、長年糖質を減らし過ぎると癌死亡や心筋梗塞死亡が増える事は海外の研究からも明らかとなっているため、どのくらいの糖質制限が良いのか、個人への栄養指導が望まれています。即ち、日本人のデータでは、糖質比が53%近くで死亡リスクが最小となり、健常者は55-60%より2-7%前後低くすればよいことになります。1日2000kcalの人ならば、2000×(0.02-0.07)÷4=10~35(g)の糖質を制限することになります。これはご飯なら100gで糖質36g減り、食パン1枚(50g)で約23g減り、今川焼(50g)で約24g減りますので、やはり糖質系の菓子類を減らせば、目的は叶います。しかし、糖尿病の方はもう少し厳しく低糖質をすれば、低エネルギー食にもなります。炭水化物は糖質+食物繊維ですから、低炭水化物食ではないことを頭に入れて、食物繊維は減らさず増やす事、即ち糖尿病の基本である野菜類を増やす事、たんぱく質を減らすことないように注意しましょう。私は和菓子を食べて、糖質が多いと思った時は、三食のご飯を少なくしたり抜いたりして、あまり、重く考えないようにしています。
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