カルシウムパラドックスと結石
カルシウムパラドックスという言葉は聞いたことがありませんか?パラドックスとは逆説という意味で、何が逆説かということです。ご存知のように日本人の全世代で不足しているミネラルは、カルシウム(以下Ca)です。即ち口から入るCaが足りないということですが、摂取基準を満たすにはなかなか難しいミネラルです。
今夏の猛暑で、水分を取りましょうと口が酸っぱくなるほど言われましたね。でも水分不足の方もおられて、尿路結石で大変な痛みに襲われた方も居たことでしょう。体内にできる結石の成分は、大体がシュウ酸Caや尿酸Caなどと言われていますが、結石はCaを取り過ぎてできるのではなく、足りなさ過ぎてできるので、パラドックスと言われる所以です。また、水分をと言われても勘違いする人がいて、アルコールや、コーヒー、紅茶を飲んでいますと言われますが、コーヒーや紅茶、更にはコーラにはシュウ酸が多く、水分を取る時は水かシュウ酸の少ない麦茶までに留める事です。このシュウ酸はCaと結合すると吸収するシュウ酸を減らすことができるので、コーヒーや紅茶を取る時にはミルクを入れて飲んだ方が良いと言われます。即ち、シュウ酸は消化管から吸収されて血管に入り、腎臓で排出され尿路に出ます。するとシュウ酸はそこで、尿中のCaと結合してシュウ酸Ca結石の誕生となります。しかし、シュウ酸は胃の中の食物に含まれるCaと結合し、シュウ酸Caとなると、消化管から吸収されなくなり、そのまま糞便と一緒に排出され、尿路結石のリスクはなくなります。ということは食べる時にちょっと注意することで、シュウ酸Caが善にも悪にもなるということです。空腹にブラックコーヒーはミルクコーヒーに、玉露や抹茶を飲む時はその前に、お菓子を食べますね。理にかなっていると思われます。また、シュウ酸はほうれん草に多く含まれると言われますが、ほうれん草は湯がいて食べるので、水に流され少なくなりますし、ほうれん草のお浸しにかつお節をふり、胡麻和えにしたり、シチューに入れたりすれば、シュウ酸の害は免れます。調理の工夫を頭に入れて、身体に結石を作らないようにしましょう。

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